家族とは何なのか。この問いに誰もがぶつかったことがあるだろう。本書はそんな「家族」についての短編が2篇収められている。「家族」は複雑なもので、血が繋がっていても家族と呼ばない人たちもいれば、血が繋がってないのに家族という構造をとって生活している人たちもいる。本書で扱われるのは、複雑な家族だ。捨て子、腹違いの姉弟。一見重いテーマだが、やさしい文体で世界が創り上げられている。
本書について
著者:瀬尾まいこ
出版社:新潮文庫(2007)
評価★★★☆☆
卵の緒
ただの日常を切り取った作品である。重くもなく、感動的でもない。ただそこに人が生きているだけ。血の繋がりはない家族だが、幸せに暮らしていく。大切なのは血筋ではなく、愛である。私の最近夢中になっている漫画の『薫る花は凛と咲く』みたいに登場人物は全員やさしい。
人間のやさしさに触れる作品。月並みな表現だがこれが本作品の印象である。
7's blood
本作品は腹違いの姉弟の話である。時が進むにつれて、互いを尊重し合うようになるという当たり障りのない話。
最終的にはお互いに愛し合っている。これを家族と言わないで何と言おうか。
以上から家族について考えたが、一つは「愛」だと思う。