ryobook-豊かな人生のために

管理者のryoと申します。高校生で読書にハマり、多様なジャンルの本を乱読してきました。読書の面白さや好きな本を伝えたいので、当ブログを開設しました!読書だけではなく人生を好転させられるような情報も更新していきます。今後ともよろしくお願いします!!

【※ネタバレあり】青柳碧人『むかしむかしあるところに、死体がありました。』

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基本情報

初版:2019年

出版社:双葉社

ページ数:296ページ

難易度:★☆☆☆☆

おすすめ度:★★★★☆

 

どんな本?

 私たちが小さな頃から親しんだ昔話を題材にしたミステリー短編集。

 本書には5つの短編が収録されている。

  1. 一寸法師の不在証明
  2. 花咲か死者伝言
  3. つるの倒叙がえし

  4. 密室竜宮城

  5. 絶海の鬼ヶ島

 

著者

青柳 碧人(あおやぎ あいと)

1980年生まれ。『浜村渚の計算ノート』でデビュー。

 

こんな人におすすめ

  1. 普段読書をしない人
  2. ちょっとしたエンタメを楽しみたい人
  3. 軽いミステリーを読みたい人

 

感想(全体を通して)

 童話には「教訓」が隠されている。グリム童話で有名なグリム兄弟は、最初は大人向けに怖い話を書いていたが、後に子どもたちに向けて教訓を含んだ童話を書いた。

 今回紹介する本書にも、童話×ミステリーと謳っているだけあって、「教訓」が書かれているように感じられた。

 

下に私が感じた教訓の一覧を掲載する。

  1. 一寸法師の不在証明→すぐに作られたものは、すぐに崩壊する(すぐ手に入れたものは、すぐに役に立たなくなる)
  2. 花咲か死者伝言→人は見かけによらない(良い方にも、悪い方にも)
  3. つるの倒叙がえし→お金は人を狂わせる(お金がある人もない人も)
  4. 密室竜宮城→表面だけがすべてじゃない(裏の人間関係もある)
  5. 絶海の鬼ヶ島→物事を主観で見てはいけない(鳥のように物事を俯瞰して見る)

 

 このように多少無理やりではあるが、教訓めいたものを挙げてみた。

 

ここからネタバレ注意!!

 

 

感想(ネタバレあり)

 個人的に好きな作品は「つるの倒叙がえし」。物語が輪廻のように無限ループする作品だった。ここからは私の妄想だが、無限ループとは言っても登場人物の名前が入れ替わりながら繰り返されるのかなと思った。というのも、「自分の息子に親友の名前をつけた」という記述があることから、立場が変われば名前は入れ替わると感じたからである。ちょっと上手に言語化できないのは、困った、、、。伝わってほしい、、、。

 

 また、「花咲か死者伝言」も良かった。物語の始まりが村から隔離されている爺さんと、主人公が出会うところから始まる。私はこの描写から三途の川を想像してしまった。そして主人公の結末は予想できた。作中でも、爺は村の掟を破ってしまったことから、現世には戻れないという解釈もできるだろう。また主人公は恩人の敵討を図った点からも現世へ戻ることができるという解釈ができる。これは仏教的な解釈。かなり話が飛躍しているが、「花咲か死者伝言」については議論の余地がある作品ではないかと思われる。

 誰か面白い解釈があったら教えて下さい!!