新渡戸稲造の『武士道』、岡倉天心の『茶の本』と並び、明治時代に英語で出版された三大名著のひとつに、内村鑑三の『代表的日本人』がある。本書は内村的日本の偉人を西洋に紹介きたものである。
著者の内村鑑三であるが、僕は本書を読む前には「不敬事件の人、2つのJの人」くらいの印象しかなかったので、キリスト教だけみたいな人だと思っていた。ちなみに「不敬事件」は(内村はキリスト教なので)天皇に対する敬意がなってないとして国家主義者の攻撃で辞職に追い込まれた事件。「2つのJ」とは内村鑑三の思想のひとつであり、内村が信仰する「Jesus」すなわちイエス・キリストと「Japan」すなわち日本の二つのことを指す。
本書について
著者:内村鑑三
出版社:岩波文庫(1995年)
本書がオススメの人
1.日本の偉人を知りたい人
2.日本発展の礎を知りたい人
本書で取り上げている人物
一、西郷隆盛-新日本の創設者
ニ、上杉鷹山-封建領主
三、二宮遜徳-農民聖者
四、中江藤樹-村の先生
五、日蓮上人-仏僧
本書を読んでの感想は
「内村はキリスト教以外にも寛容であった」ということである。というのは、本書で取り上げられている5名のうちキリスト教徒はいないどころか、陽明学や仏教などの多宗教の人物を取り上げ評価をしているところである。
「キリスト教は素晴らしい!うぇーい^ ^」みたいな本でなくて良かった。
内容も各人物の伝記を中心に描いており、信頼のおけるものであった。
今後も知人にオススメする本の一つになるだろう。充実した読書だった。