経済成長、民主主義、核、9条、少子化、移民、安楽死、LGBTQ、グローバリズムなどなど。現代を取り巻く問題は異様に多い。中には、なんでこれが問題視されているのか分からないこともある。メディアが変に煽るせいで不安が広がることも多々ある。本書では選りすぐりの22の問題について基礎知識と著者がどう考えるかが載っている。
当記事では、私が興味深かった箇所を取り上げていく。
本書について
著者:出口治明
出版社:幻冬舎新書
グローバリズムは衰退するのか
コロナ禍でグローバリズムのあり方について膨大な議論が行われてきた。ある学者はグローバリズムの衰退を謳い、別の学者は更なる発展を語った。
おそらく世界が注目しているのはアメリカと中国の関係性ではないだろうか。トランプ元大統領がアメリカファーストを打ち出し、習近平は一帯一路構想を打ち立てている。アメリカと中国の対立がメディアではよく取り上げられる。米中対立についてどう考えるか。
トランプ大統領が新型コロナウイルスのことを「チャイナウイルス」と呼んで攻撃したとき、実質「ナンバー2」のポンペオ国務長官が習近平を「全体主義の信奉者」だと名指しで批判したとき、中国はどう対応したか。(中略)「ナンバー1」の習近平や「ナンバー2」の李克強がアメリカの首脳を罵倒するのを聞いたことがあるでしょうか。アメリカに反論するのは、大体の場合は中国外務省の報道館などです。これは、中国がアメリカと本気で事を構えるつもりがない1つの証拠ではないでしょうか。(p60)
著者は本書でこう語る。これには納得させられる。この仮説を真とすれば、状況は日本国民が思っているより悪いかもしれないな。何故なら、中国には米国と戦う気がないのだから。
日本の食料自給率は低いのか
日本の食料自給率は38%と言われる。だが、
この「40%を割っている」というのは、カロリーベースの話です。2019年度の日本の食料自給率は、カロリーベースでは38%ですが、生産額ベースでは66%で、他の先進国との差はそれほど大きくはありません。(p293)
きました統計で嘘をつくやつ。思い返せば食料自給率の数値に疑問を抱いた事なかった。小学校から日本の食料自給率は低いと教えられてきた自分には衝撃だった。
思ったけど、日本は農業に従事すれば良いのでは。テクノロジーはアメリカ中国に勝てないし、工業も新興国でできる。日本の気候を生かして農業に従事するのも日本生存戦略だと思う。めっっちゃ興味ある。
本書は良書。ただ主体的な読書が出来る人限定。著者の思想を丸々コピーする人には向いてない。