ryobook-豊かな人生のために

管理者のryoと申します。高校生で読書にハマり、多様なジャンルの本を乱読してきました。読書の面白さや好きな本を伝えたいので、当ブログを開設しました!読書だけではなく人生を好転させられるような情報も更新していきます。今後ともよろしくお願いします!!

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディみかこ|格差や差別と多様性意識の欠如

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最近、電気代が高騰し家計を圧迫している。「給料は上がらないに、物価が上がっている」生活は苦しくなっていくばかり、と日々感じている人も多いと思う。新自由主義を掲げて、経済を活発化させているように見せて、実情は富める者が富み、貧しい者はさらに貧しくなっている。所謂、格差が拡大していることは言うまでもない。

私は「格差」について考え始めたのだが、そもそも日本だけが格差社会になっている訳ではない。その時思い出した本が、今回紹介するブレイディみかこさんの『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』である。

 

 

本書について

著者:ブレイディみかこ

出版社:新潮文庫

個人的評価 ★★★★☆

タイトルからはポップそうな雰囲気を醸し出しているが、本内容はかなり暗めでダークな印象を受けるものである。特に気持ち悪いくらいに生々しい現代イギリスの格差や差別をテーマに扱っている。本書が描き出す事象はイギリスに限ったことではなく、日本を含めた世界全体にも通じるものがある。したがって、本書は売れるべくして売れたのだろう。

 

新自由主義の弊害

新自由主義とは、

政策・管理を極力排除するため、国家・政府の役割を縮小し、個人の自由を確保しようとする思想をいう。(『倫理用語集』より引用)

要は我々がイメージする「THE 資本主義」みたいな感じだと捉えて良いだろう。

新自由主義の代表的な政治家として、アメリカのレーガンやイギリスのサッチャー、日本でいうと安倍元首相などが挙げられる。

 

市場を重視するあまり日本の貧富の差を拡大してきた当思想なのだが、イギリスでも問題になっているようである。それが本書のメインテーマ一つだと思われる。

詳しくは本書で語られている。

 

差別と日本

また、本書のもう一つの核となるテーマが「差別」であり、個人的に印象深かったテーマでもある。

「ハーフ」「ダブル」などと混血者のことを言うことがある。私はそれがおかしいと思うのだが、日本にはかなり浸透しているように思える。この"日本" と"他"の区別は果たして、必要なのだろうか。

 

ここで私が腹が立った一節を引用する。

「そもそもな、そもそも論で言わせてもらえればたい、英語さえできればいいと言う態度は、日本経済をバカにしとる証拠たい。いまは何でも英語と中国語。それさえ喋れたらあとはいらんと思っとう。外国人が日本をバカにするならまだわかる。ばってん、日本人が日本をバカにするようになったらもう終わりたい」(p199)

これは、著者が日本に帰国した際に、酔っぱらいから言われた言葉である。

 

これを恥ずかしいと思わないか。少なくとも私は何処か悲しみを感じた。

 

 

多様性の欠如、、、。

 

 

多様性、、、。

 

多様性

ここからは多様性について考えてみる。

多様性って近年よく耳にする言葉だが、自分とは異なるものについて、ただ寛容でいれば、多様性は尊重されるのか。

私は違うと言いたい。

というのも、本書にある通り、主体的に能動的に他者を知る行動することによってのみ多様性を認めることになると思うから。

例えば、宗教が異なる人に対しては、その宗教を知ることが、その人の尊重に必要だと思う。

積極的に相手を認めて尊重し合うことが、多様性の尊重に繋がるのではないか。

そのためには、人種、ジェンダーなどの区別というものの必要性についてはも考えたほうがよいだろう。

また、隣人愛を持って他者と接する感覚が現代には欠落しているのだろうか。あまりにも、自己中心的、成果主義的な思想が世に溢れかえっていると思う。

 

 

 

 

【格差・イギリス・新潮文庫