ryobook-豊かな人生のために

管理者のryoと申します。高校生で読書にハマり、多様なジャンルの本を乱読してきました。読書の面白さや好きな本を伝えたいので、当ブログを開設しました!読書だけではなく人生を好転させられるような情報も更新していきます。今後ともよろしくお願いします!!

【2024年2月号】『致知』の感想|立志立国、正直どうだった?致知を読んで思ったこと、考えたこと

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短期の悲願、長期の楽観

 今月のテーマは「立志立国」。日本について様々な考察が掲載されていて、非常に興味深い。

 

 その中でも私が面白かったのは、「短期の悲願、長期の楽観」という概念だ。日本では短期的には楽観な政策がよくとられている。特に岸田総理は「検討します」と言って問題を先送りにしている印象がある。楽な方向に流れてしまうというのは何も総理をはじめとする政治家だけでなく、日本国民の傾向に思う。かく言う私もそうだ。勉強したくないからレベルの低い学校を受けたり、きつい練習をしたくないから部活なくなんねえかなと思ったり、、、。

 そこで目の前の課題に取り組むことで、未来を楽観できるということが語られている。非常に考えさせられる記事だった。

 

事業主は自己犠牲が前提

 私は将来的には独立して小さな会社を経営していきたいと考えている。そのために現在は大学で勉強している。

 本書で語られているのは、独立した当時に年中無休24時間、お客様からの電話対応に応じたという話だ。とてつもない精神力。素直に尊敬できる。以前にSHOWROOM代表の前田裕二さんの『人生の勝算』を読んだときに同じような感覚を受けた。

 

今回は特に「熱くなる話」が多かった。

とても良かった。

 

【2024年1月号】『致知』の感想|人生の大事、初めての致知を読んで私が考えたこと、印象に残ったこと

致知』とは人間学を学ぶ月刊誌である。今回は『致知 2024年度1月号』の感想を記す。

[:contents]

基本情報

出版社:致知出版社
ページ数:145p
難易度:★★☆☆☆
おすすめ度:★★★★☆

致知』とは?

いつの時代でも仕事でも
人生にも真剣に
取り組んでいる人はいる。
そういう人たちの
心の糧になる雑誌を創ろう。
致知』の創刊理念です。

公式HPより引用


感想

 私は今年度から『致知』の購読を始めた。
大学生になりアルバイトが解禁されて、働くことについて悩むようになった。高校生の頃はこんなんじゃなかったのに、、、とか思いながら病んだ。
記事には見返りを求めない徳積みは生きて返ってくるというものがあった。アルバイトの際にお客さんとコミュニケーションをとる。その時に「めんどくさいな」とか「早く終わんないかな」とか思っていた。しかし今回の話を読んで、真心こめて真摯にお客さんと関わろうと思わされた。
今までの自分がどこまで最低だったか、どこまで世間知らずだったかが浮き彫りになってくるこの頃。


また私が印象に残ったのは、「松尾芭蕉の名句に学ぶ人生の大事」(p28~)だった。本欄を書いたのは、東洋思想家の境野勝吾(さかいの かつのり)。お歳は92歳を迎えている。

芭蕉は「無価値の価値」を追求したと紹介され、それは「詫び」「寂び」の世界と同義だという。これらの世界のものは日陰のようなイメージを抱かれるが、芭蕉はこれらの世界がとても明るい世界だと表現したそうだ。
私が特に印象に残ったのは

古池や蛙飛びこむ水のおと

の成立エピソードだ。それは芭蕉が和尚さんから「人生とは何か」と尋ねられた時に「蛙飛びこむ水のおと」と答えたというものだ。宇宙の悠久なる働きからしたら人生はポチャンという音のように瞬間だ、という解説に衝撃を受けた。「芭蕉、天才やん」と声が漏れた。
私の記憶では、「水という一見目立たないことに目を向ける芭蕉の素晴しい句」という風に学校でならった。しかしこれこそが表面的な説明で、何処でどのような状況で読まれたのか、などの裏の説明があったら国語の授業は楽しめたのかな。

【※ネタバレあり】青柳碧人『むかしむかしあるところに、やっぱり死体がありました。』|正直レビュー、微妙?

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基本情報


初版:2021年

出版社:双葉社

ページ数:280ページ(単行本)/334ページ(文庫本)

難易度:★✩✩✩✩

おすすめ度:★★✩✩✩

 

ベストセラーとなった前作『むかしむかしあるところに、死体がありました。』の続編。童話×ミステリーで楽しい短編集。

収録されている物語は以下の6編。

  1. 竹取探偵物語
  2. 七回目のおむすびころりん
  3. わらしべ多重殺人
  4. 真相・猿蟹合戦
  5. 猿六とぶんぶく交換犯罪

著者

青柳 碧人(あおやぎ あいと)

1980年生まれ。『浜村渚の計算ノート』でデビュー。

前作『むかしむかしあるところに、死体がありました。』はベストセラー。

 

感想1(正直、微妙?)

 今回、本書のおすすめ度は5段階評価の★2とさせていただいた。まずはこの理由について語りたい。

正直、言いたい。

本作は「前作よりもワクワク感はなかった」。(ちなみに前作の評価は★4)

 

↓前作の記事(面白い解釈を書いているのでぜひ)

xrai1.hatenablog.com

↓おすすめ!!

 

ミステリーと言っていいのか?

 そもそも前作もミステリー小説というよりはエンタメ小説であった。しかし多少なりとも「ハッ」とするようなトリックが隠れていたし、「あーこういうことか」というような後味を味わった。

それが今回はどうだ?

いまいちパッとしない。「ふーん」で終わってしまう。結末が呆気ない。

エンタメ目線から見ても物足りない。

前作が良かっただけに悲しかった。。。

言語化が難しいが、いまいちパッとしない作品たちだったかな。

 

おすすめ?

 今回の記事では、「どんな人におすすめ?」という項目は掲載していない。というのも、前作に感銘を受けた人からは物足りなく感じてしまうからだ。私は正直な評価をしたい。

しかし本書が気になっているのだったら購入することと強く勧める

私の感性が腐っているかもしれないから。。

 

感想2(良かった点)

 ここまで悪い評価を語ったわけだが、もちろん良い点もあった。

それは作品のバリエーションが増えたことだ。前作には同じようなシチュエーションがあったり、似たような動機があったりした。だが、今回の作品では前作とは異なった文章展開があって少しばかり楽しめた。

 

 

 

 

 

 

著者・青柳碧人さんへ

 今回の記事では身勝手でご無礼な発言をしてしまい申し訳ございません。本記事は著者様や出版に携わった方々を貶めようという趣旨のものではありません。

記事をご覧になった方々が楽しい読書生活を送ってほしいという願いをこめて日々記事を作成しております。

前作の『むかしむかしあるところに、死体がありました。』は楽しく読ませていただきました。とても面白い作品でした。

そのうえで本作を読ませていただき、私が感じたことを素直に書かせていただきました。

上記のことをご了承ください。(o*。_。)o

【※ネタバレあり】青柳碧人『むかしむかしあるところに、死体がありました。』

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基本情報

初版:2019年

出版社:双葉社

ページ数:296ページ

難易度:★☆☆☆☆

おすすめ度:★★★★☆

 

どんな本?

 私たちが小さな頃から親しんだ昔話を題材にしたミステリー短編集。

 本書には5つの短編が収録されている。

  1. 一寸法師の不在証明
  2. 花咲か死者伝言
  3. つるの倒叙がえし

  4. 密室竜宮城

  5. 絶海の鬼ヶ島

 

著者

青柳 碧人(あおやぎ あいと)

1980年生まれ。『浜村渚の計算ノート』でデビュー。

 

こんな人におすすめ

  1. 普段読書をしない人
  2. ちょっとしたエンタメを楽しみたい人
  3. 軽いミステリーを読みたい人

 

感想(全体を通して)

 童話には「教訓」が隠されている。グリム童話で有名なグリム兄弟は、最初は大人向けに怖い話を書いていたが、後に子どもたちに向けて教訓を含んだ童話を書いた。

 今回紹介する本書にも、童話×ミステリーと謳っているだけあって、「教訓」が書かれているように感じられた。

 

下に私が感じた教訓の一覧を掲載する。

  1. 一寸法師の不在証明→すぐに作られたものは、すぐに崩壊する(すぐ手に入れたものは、すぐに役に立たなくなる)
  2. 花咲か死者伝言→人は見かけによらない(良い方にも、悪い方にも)
  3. つるの倒叙がえし→お金は人を狂わせる(お金がある人もない人も)
  4. 密室竜宮城→表面だけがすべてじゃない(裏の人間関係もある)
  5. 絶海の鬼ヶ島→物事を主観で見てはいけない(鳥のように物事を俯瞰して見る)

 

 このように多少無理やりではあるが、教訓めいたものを挙げてみた。

 

ここからネタバレ注意!!

 

 

感想(ネタバレあり)

 個人的に好きな作品は「つるの倒叙がえし」。物語が輪廻のように無限ループする作品だった。ここからは私の妄想だが、無限ループとは言っても登場人物の名前が入れ替わりながら繰り返されるのかなと思った。というのも、「自分の息子に親友の名前をつけた」という記述があることから、立場が変われば名前は入れ替わると感じたからである。ちょっと上手に言語化できないのは、困った、、、。伝わってほしい、、、。

 

 また、「花咲か死者伝言」も良かった。物語の始まりが村から隔離されている爺さんと、主人公が出会うところから始まる。私はこの描写から三途の川を想像してしまった。そして主人公の結末は予想できた。作中でも、爺は村の掟を破ってしまったことから、現世には戻れないという解釈もできるだろう。また主人公は恩人の敵討を図った点からも現世へ戻ることができるという解釈ができる。これは仏教的な解釈。かなり話が飛躍しているが、「花咲か死者伝言」については議論の余地がある作品ではないかと思われる。

 誰か面白い解釈があったら教えて下さい!!

 

 

 

南条あや『卒業式まで死にません』|乱れた心と強がりな私

 

基本情報

初版:2004年

出版社:新潮文庫

ページ数:332ページ

難易度:★★☆☆☆

おすすめ度:★★★★☆

 

18歳の女の子が死に至るまでの3ヶ月をリアルに記した本。そして著者のブログをもとに、彼女の死後出版されたものである。

 

リストカット、クスリ、援交、、、。

ハードな若者の強がりをポップに描く。時代は違えど、その主人公は私だったのかもしれない。そのように共感することのできる、悩める若者は多いだろう。

 

著者が伝えたいこと

18の女の子の孤独と憂鬱の叫び。

 

これは私の都合の良い解釈だが、SNSが発展した現代にも同様の精神構造が溢れているのかもしれない。

 

著者

南条あや(本名は鈴木純) 1980-2000

 

 

中学1年生の頃からリストカットをするようになり、晩年には慢性化していた。

 

卒業式を終えて20日後の1999年3月30日正午ごろ、一人で下北沢のカラオケボックスに入店し、その後3時間の間に向精神薬を大量に服用し昏睡状態で病院に搬送。蘇生処置を受けたが、その後死亡した。様々な見解はあるが実質上「自殺」とみられている。(Wikipediaより引用)

こんな人におすすめ

  1. 生きるのに疲れた人
  2. 子どもと関わる仕事をしている人

 

要約・あらすじ

本書では度重なるグロテスクで凄惨な描写が出現する。

しかしその乱れた精神状態とそれを隠そうとするから元気な語り口調が、不安定な若者を際立たせている。

 

今回はその一部を引用したい。

家で、悩んで悩んで、明日からどうやって学校で生活しようと窮していたときに「私が自殺したいほど悩んでいるって分かれば、みんなも少しは同情してくれるんじゃないか」という汚い考えのもとに、最初のリストカットが始まりました。(『卒業式まで死にません』p18)

これは著者が中学に入学していじめを受けての反応です。

私はリストカットまではしたことないが、「同情を誘うアピール」をしたことはある。

若者だけでなく、大人でも多いのではないか。仕事でミスを犯したから体調が悪いフリをする。

これが彼女の場合はリストカットだったわけだ。

 

これから彼女は自殺未遂をしたり、クスリを大量に服用したり、、、。

驚くべきことに、日記には服用したクスリがこと細やかに記載されているのが、ちらほら見られる。

その時の眠剤リスミー2T、メレリル2T、ホリゾン2T、エバミール2T、ソラナックス3T、セパゾン2T、トリプタノール2T、サイレース1mg。ちゃんこ鍋状態のメニューでした。(同書 p54)

このクスリ自慢やリストカット自慢のようなものは若者に身近なものに感じられる。

現代におけるnstagramで飲酒やバイトの迷惑行為をストーリーズに上げるようなものなのだろう。

 

本書を通して読んでいると、現代の若者とも共通するような精神構造が記載されている。

 

管理人のつぶやき

人間の精神構造は昔から変化していないのだろう。

だからこそ、本書の乱れた記述をよりリアルに感じることができ、共感できるのだろうな。

 

 

 

森博嗣『小説家という職業』|小説家になりたかったら、本は読むな

 今回紹介する本は、小説家の森博嗣さんの『小説家という職業』だ。ジャンルはエッセイ。いかにビジネスとしての小説家が誕生したか、が語られている。私自身、小説家になりたいとは思ったことないが、友達に何人も夢見ている人がいる。本気で小説が好きな人は、ビジネスで小説を書くことに抵抗があり、本書の印象は良いものとは言えないと感じた。だが個人的には興味深い本だった。

本書について
著者:森博嗣
出版社:集英社新書


 私が感じたのは、「著者はプロだな」ということ。なぜなら、著者は本を売るためにデータの分析を怠らない。ネットの批評を全チェックしたりメール全てに目を通したり(今は量が多すぎてチェックしきれないらしい)とニーズの分析をしているそう。

僕は自著に対してデータを集計したことがある。すると、売れている本ほど、読者の採点が低くなる傾向があることに気づいた。理屈は簡単である。採点が低いからよく売れるのではなく、よく売れるほど、その作品に合わない人へも行き渡るから、低い評価を受ける結果になる。逆に、もの凄くマイナで部数の少ない本は、コアなファンだけが買うので評価が高い。(p138)

 著者はこう語った。この分析には我々も納得いくだろう。

 前述の通り、本ビジネスの話が書かれているわけだが、文章のテクニック(?)も最後に書かれている。

文章が上手くなるためには、とにかく文章を書くこと。そして、自分の書いた文章を何度も読み直してシェイプアップすることである。書いたすぐあとに直すのではなく、せめて1日、できれば数日置く。(p164)

 そうですね。としか言えないくらいの正論パンチ。自分も意識して文章を作り上げたいと思った。

 もう一つ面白い点がある。それは「著者は子供の頃から本をあまり読まない」と言っている割には、読んだ本について言及している箇所があるところ。しかも誰でも知っている名作ではなくて、マイナーな本なこと。そんな本にどうやってたどり着いたんだよと一人で突っ込んでいた。

 世には奇妙な作家がいるものですね。

外山滋比古『異本論』|読者はもっと自由でいい・

 『思考の整理学』を世に輩出した著者の「読者論」と帯に書いてある。正直な話私は、「読者論」よりは「読物あれこれ考察本」としてとらえている。本書に登場するのは、古典の条件や言語学、解釈論などの話である。

本書について

著者:外山滋比古
出版社:ちくま文庫(2010)
ページ数:202

古典が古典たる所以

 個人的に面白かったのは、古典は異本化によって作られる、という意見だ。異本化とは推敲や添削、編集、読者の解釈のことを言っている。たしかに古典のほとんどは研究書や訳書が作られるので納得できる意見だ。なんとなく古典はえらい、畏れ多いみたいな考え方がしみ込んでいるひとも多いと思う。なぜなら、私自身がそうだから。
 本書では読者の自由な解釈を肯定している。古典を崇拝して称賛する必要ないということだ。高校現代文のような一律化は望まれていない。だから私も本書を自由に解釈して当記事を自分だけの異本にしていきたい。一部の偉い学者の「原典を読みなさい」という声に圧倒されずに読書をする。ちなみに著者も

著者の意図の尊重という重圧が自由な読書のよろこびを圧迫していることが、これまで、あまりにも多かったように思われる。読者はもうすこし気楽に振る舞ってもよいのではあるまいか。(p9)

という風にも述べている。