「読書は良いこと」
子供の頃、そんな風に大人達から言われてきた。
ただ、読書という行為そのものが無条件で良い行いと言えるのか。
今回の記事ではこのような疑問に答えていきたいと思う。そこで参考にさせて頂くのが、かの有名なショウペンハウエル『読書について』だ。読書には良い読書と悪い読書がある!
オススメ度 ★★★★★
読みやすさ ★★★★★
ページ数 158ページ
出版社 岩波文庫
※当記事は『読書について』の紹介記事となります。紹介された考えは数ある読書論のうちの1つとしてご理解下さい。必ずしも、これが正しいと押し付けている訳ではございません。あなたが自分なりの読書法を見つける手がかりりなれば、と思います。
NGな読書について
では早速、本題に入りたい。
「読書は良いこと!」と聞けば、我々は大量の本を読もうとするだろう。このことを「多読」と言うが、何故多読してしまうのか。何故なら、本を読むことは良いことなのだから。そう教わってきているから。
だが、あなたはこんな経験をしたことはないだろうか。
「本は読んだのに、内容を覚えていない!」
おそらく、誰しもが一回は思ったことがあるのではないか。
それに対し、本書では「(自分で考えない)多読をすれば、愚者となる」と言っている。
要するに、「何も考えずに本を読むことは意味がないし、むしろしない方が良い」と言っている。
ではどのように読めば良いか。
それは「自分の頭で考え、深く読むこと」である。このことを「熟読」と呼び、同じ本を繰り返し熟読することで、読書は意味を成すという。
読むべき本について
では、どんな本を読めば良いのか。
それに対しても、著者は明確に答えを持っている。
NG本
それは、「悪書」を避けること、である。
ここで言う悪書とは、「お金、時間、集中力を読者から奪い取るもの」である。
例えば、現代のベストセラーなどを指している。確かに、現代にも良い本はある。全てを否定しようとは僕も思っていない。しかし、ベストセラーというものは大衆に売って、お金儲けをしようという本だという。要は薄い。
言われてみれば、研究者が使うような分厚い専門書はどれも高価で手に入りにくいものである。また、大衆に売ることを目的としていない。
読むべき本
そのことを踏まえて、著者がオススメしているのは、「ギリシア・ローマの古典」である。
ギリシア・ローマよ古典は長い間人々に読まれてきたもので、内容も深く難しいものが多い。しかし、これらの本を熟読することで本当の読書の世界に足を踏み入れることとなる。それは教養であり、現代人の精神の礎でもある。
そこを通らずとして、現代を語ることが出来ようか。
これは、本だけでなく、現代に蔓延るさまざまな情報にも同じことが言える。
どういうことか。
古典を読むということは情報源、引用元を探ることであり、現代のさまざまな問題をできる限り正しく理解することに繋がっているからである。
日本の経済を回復するために必要なことは、経済政策を進めることなど、直接的なものではなく、実は古典を熟読することなのかもしれない。
さいごに
当記事があなたの役に立ったなら、幸いです。
オススメ本
最後にオススメのギリシア・ローマの古典を紹介する。
特に読んで欲しい2冊を厳選した。
ソクラテスが弁論家と若き政治家に政治の腐敗について問い詰める、プラトンの対話篇。また、プラトンが『国家』で提唱した哲人政治の基礎となる思想が書かれている。難解だが、今読むべき本であろう。
2.マルクス・アウレリウス『自省録』
ローマ五賢帝時代の第五代皇帝による日記。
生死、貧富、苦楽、名誉と不名誉、「善く生きる」ことを考え続けた彼の言葉からは、学ぶことが多々あるだろう。